European Joint Master’s Degree

ヨーロピアン ジョイント マスターズ ディグリー

ドイツの大学院で英語でマスターを取るなら

モーゲンスタン陽子

 

ドイツの大学教育は、皆さんもご存知のように格安です。せっかくドイツで暮らしているのだから、あの趣きある学び舎に足を踏み入れてみたいと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかしながら、ドイツの大学で学ぶにはふつう、ドイツ語能力を証明するスコアを提出しなければならず、躊躇される方もいるかもしれません。


しかし、最近では英語で受けられるコースも増えているようです。今回は、私がドイツ、そしておそらくヨーロッパで、日本人で唯一取得したEuropean Joint Masters Degree 「ヨーロピアン・ジョイント・マスターズ・ディグリー」という英語の修士課程プログラムを紹介したいと思います。

このプログラムは2007年に始まりました。その名からも分かるように、ドイツをはじめオーストリア、フランス、イタリア、ハンガリーから各1大学と、ニューヨークから1校の計6大学共通で発行される学位です(当時はロンドンも含まれていましたが、現在ははずれてしまいました)。私はこれを、ドイツのバンベルク大学をホーム校として取得しました。


分野はイギリス・アメリカ文化研究オンリーで、文学・言語学・文化研究のいずれかを主専攻とします。完全に英語のコースなので、ドイツ語能力の証明を提出する必要はありませんが、かわりにTOEFLのスコアが必要です。私はカナダのカレッジを出ていたため「英語ネイティブ扱い」となり、TOEFLさえ必要ありませんでした。


また、大学進学資格証明を要求されますが、お役所的でまさにドイツな事務局を相手に、「日本にAbiturはない!」と私の代で論破してありますので、後続の皆さんは心配ないでしょう。(笑)

マスターは25,000字以上の修士論文30単位を含めた120単位を3年(6学期)で取得すれば発行されます。

上記の3専攻からメイン1、サブ2を選ぶほかは、フリー選択の専門外科目12単位、英語10単位などです。語学の単位は、ネイティブ及びネイティブ扱いの人は英語でなくてもよいので、私はこれをドイツ語やプレゼンテーションの練習(英語)などに充てました。ほかにもいろいろな言語を選べます。


このプログラムのユニークな点は、1学期30単位を必ずパートナー校で取らなければならないこと。パートナー校の希望は入学希望書類に記入できますが、最終的に決めるのは願書を受理したホーム校側です。私は希望とは異なり、オーストリアのグラーツ大学になりました。


さて、気になる学費ですが、500ユーロちょっとをフルに払うのは基本的に2学期だけで、モビリティ・セメスターと呼ばれるパートナー校出向学期は不要、そのうえこの期間は毎月補助金が支給されます。グラーツは月450ユーロ程度でしたが、パリ・ロンドン・NYに行く学生たちは7800くらいでしょう。これは、現地の住宅事情を考慮してのことです。

残りの1~3学期は論文を書くだけで、取り残しがある場合を除いて基本的に授業には出ないので、諸費用の73ユーロだけです。6学期フルに使っても、他国に比べたらタダ同然のような費用ではないでしょうか。


ディプロマにはパリ第7大学以外の5校の認証が入ります。パリ第7大学はフランス語の証書しか出さないので、別途10月に発行されます。

2015年度願書締切までまだ3週間ほどありますので、興味のあるかたはアプライしてみてはいかがでしょうか。


バンベルク大学JDプログラム詳細はこちら

http://www.uni-bamberg.de/ma-jdeas/

 

モーゲンスタン陽子

作家・翻訳家。ニュルンベルク在住

www.yokomorgenstern.com

 

 

 

 

 

その他のインターネットでの情報先: 

 

ジョイント・ディグリー(共同学位) プログラム説明

出典: OFIAS リエゾンオフィサー 新井早苗

 

ジョイント・ディグリーの説明 出典: 中央教育審議会 大学分科会